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凋叶棕運営記。基本まったり更新。
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2014/01/01 (Wed)
「ジムノペディが終わらない」

宇佐見蓮子とマエリベリ-・ハーンの関係性を軸に、神様に翻弄される人間を描いた物語です。 

  はじまりは、古びた無人の遊園地 。蓮子とメリーは、足を踏み入れたそこで、謎の少女に遊園地を案内され、サーカスをモチーフとしたコースター型アトラクションに乗ることになる、遊園地のイメェジ 。
  
  大学のゼミの新入生勧誘と称してメリーに言い寄る「先輩」とメリー、と、蓮子の三者の関係を匂わせながら展開される気だるげな日常のイメェジ 。

  要所要所で唐突に現れては、虫に寄生する黴や、虫に寄生する蜂といった喩え話を用いた謎めいた示唆をもって蓮子を翻弄する諏訪子のイメェジ 。

  男に蹂躙されたメリーの精神を安定させようと蓮子に付き添う、蓮子と壊れていくメリーのイメェジ。
 
    そして、遂に壊れきったメリーの…堕…を…蓮子は…

そうした各種のイメェジが複雑に絡み合う、おどろおどろしく、人を強く退廃に誘う物語。


「薦」の原著の中で最も暗く重い作品と思っています。
 「大学生の惚れたはれたなんて、虫に操られているようなものだ」という製作者の方の言葉もあり、
現代に近い位置取りにいる秘封倶楽部ならではの、性的事情込みの非常に生々しいお話であることがまず特徴的です。私はいまだにこの作品が全年齢向けであることが信じられません。

お話は、こういってはなんですが難解、複雑で、解釈が難しいものであります。
これについてはぜひ、一体どういうことなのか、といったことについて、ぜひ皆様でも思いを巡らせていただきたいです。
つきましては、以下の文章は主観を含んでの紹介になることを予めご了承ください。
(~になっています。といった断定表現は、あくまで推測、と読み替えてください)


さて、ブックレットにもいる 諏訪子は、神様として戯れに二人を破滅に誘う存在として描かれています。
作中で、具体的・物理的な脅威を加えたといったことをしたわけではないのですが、作中の描写を鑑みるに、暇を持て余した神様の暇つぶしの対象に蓮子とメリーを選び、翻弄し、もって破滅させた、という構図になっています。

その破滅のさせ方が、たとえば妖怪に襲わせるとかそういったことではなく、大学生の、もっというならば女子大生の立場を悪用したものであるのが、なんというか、人間の業の深さ、あるいは、本能に従う単純さを嘲笑っているかのようで、何ともダークです。
(先にさわりを述べたように、「先輩」という男性が登場しますが、読みようによっては、これとメリーは無理やり関係を持ち、更には蓮子ともあるいは関係を持ち、メリーにいたっては望まぬ妊娠という憂き目にあうというような構図で、大変破滅的です)

 ただ、秘封倶楽部の幻想に前向きなイメージを大切にしたい一方で、妖怪や神様といった存在が常に人間にやさしいのか?と思うと、それもそれで疑問で、そういった意味で幻想の存在が秘封倶楽部を標的にし、蹂躙したという本作の構図は、私の中では一定の説得力を持って襲い掛かってきています。ハマっています。



 前述のとおり、話の流れをはっきりと示すことが困難だったこともあり、
「捧げられたイメェジ」においては、そういったことはせず、
 そのおどろおどろしくも退廃的な世界を表現することにつとめました。

作中、「イメェジ」が切り替わっていくように、この曲も、様々なイメェジを内包しています。
イントロは、終幕のシーンから。AメロBメロは、平素の気だるげな様子を。サビは、作品全体の根底に向けられたテーマについて…といった具合に、描写したいことはそれぞれ異なり、もって一つの世界観を構築しました。私的には会心のおどろおどろしさです。脳にキます。

私は文章を評することについては語彙が貧弱なのですが、何というか、文体から描写される世界からも極めて強い退廃が漂います。
特に私が大事だと感じたのは、「けはり(煙を吐き出す音)」であるとか、「ふしぃる(口から洩れる息の音)」であるとか「くたら(笑顔の表現)と笑う」いったオノマトペで、これに強く印象を受けたものでした。歌詞にもこれを入れねば…という思いから、そういったものを混ぜ込んでいます。

作中、たびたび登場する「ジムノペディ」は、エリック・サティの代表的楽曲で、第三楽章までありますが、大変有名な曲なので、第一楽章はどこかでそのイントロなど耳にされたことがあるかもしれません。
この曲は絶対にこの音で始めねば、と強く感じていました。


曲中の 「ねぇ、メリー」という表現は、作中のそれではなく、私自身か感じたイメェジによるものです。 メリーは、貴女、或いは、私。私であり貴女であるメリーをメリーと呼べるのは、マエリベリー・ハーン以外にもう一人いそうです。
 「腐っていく」「穢れていく」といったネガティブな響きの言葉を中心に「この関係(秘封、或いは、この先輩との関係)こそ、酷く汚いものなのかしらね?」といって秘封を捻じ曲げていく感じにグサッと来られた方は、原著の雰囲気を少しでも感じて頂けていることと思います。


万人にお薦めできるかというと少し難しい顔をせざるを得ませんが、
暗く退廃的な世界に耽溺されたい方にはお薦めしたい一冊です。
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